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新型コロナウイルス感染症の重症化予防薬に関するお知らせ

更新日:8月13日



オミクロン株に置き換わって以降、重症化する患者様の割合は低下したとされていますが、高齢が最も重要な重症化のリスク因子であり、特に高齢かつ基礎疾患のある方での重症化リスクが高いことに変わりはないようです。2024年4月公表の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第10.1版」にも、オミクロン株流行期における重症化・死亡例の検討において、死亡された方で70歳以上が90%以上を占めたとされています。当クリニックでの診療においても、現実的に高齢の方は相対的に重症化・死亡のリスクが高いと感じています。

当クリニックではお隣のそが薬局と協力し新型コロナウイルス感染症の重症化対策としてパキロビッドパックⓇ、ラゲブリオⓇ、ゾコーバⓇの3つの薬剤の処方が行える体制を整えています。

 

「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第10.1版」を参考に、それぞれの薬剤の特徴を次にまとめます。

[パキロビッドパック]:国内外で実施された二重盲検試験で入院または死亡を89%減少し、オミクロンに置き換わった以降も、報告によって差はあるものの効果が得られています。

パキロビッドは併用薬剤と相互作用を起こすことがあり、服用中の全ての薬剤を確認することが必要で、腎機能によって用量調節の必要があり現在の腎機能が必要とされます。保険証が3割負担で腎機能に異常がない方で約29,700円、中程度腎機能の低下のある方で約18,800円の追加自己負担になります。


[ラゲブリオ]:国内外で実施された二重盲検試験で重症化を30%減少したと報告されていますが、オミクロンに置き換わった以降では、死亡を若干減らしたとの報告と、ラゲブリオ内服群とコントロール群とに差がなかったとの報告があります。最近出席した講演会の一つでは「パキロビッドと同等の効果が期待できる。」と話されたり、別の講演会では「現時点ではラゲブリオが効果がないと決めつけることはできない。」と話されていました。当クリニックで処方してみて、それなりの効果はあるような印象があります。

ラゲブリオは併用薬剤との飲み合わせや腎機能(高度の腎障害の患者様に対する評価はされていない)を気にしなくて処方できます。保険証が3割負担の方で約26,000円の追加自己負担になります。


[ゾコーバ]:新型コロナウイルス感染症の症状の短縮効果は示されていましたが、これまで重症化抑制効果は報告されていませんでした。最近、37%の入院減少が明らかにされ、さらなる重症化抑制効果が待たれます。この薬もパキロビッドと同様に併用薬剤と相互作用を起こすことがあり、服用中の全ての薬剤を確認することが必要ですが、腎機能の影響を受けにくい点がパキロビッドと異なります。保険証が3割負担の方で約15,500円の追加自己負担になります。

 

[当クリニックでの新型コロナウイルス感染症の重症化予防薬の処方状況]

70歳以上の方、70歳未満でも新型コロナワクチン未接種の方や基礎疾患等により重症化リスクが高いと考えられる方には重症化予防薬内服をお薦めしています。

「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第10.1版」に沿って薬剤を処方しています。


パキロビッドが処方可能であればパキロビッドを処方しています。

併用注意薬を内服中の方は、パキロビッド内服中はその内服薬を減量して内服して頂いています。

併用禁忌薬を内服されていた場合は、パキロビッド内服中の5日間に中止あるいは変更可能であればパキロビッドを処方しています。

新患の方で腎機能が分からない方は腎機能を緊急で測定し(2時間弱で結果が返ってきま)、その結果を見てパキロビッドの量を加減して処方しています。

面倒な作業になりますが、当クリニックではこの方法を採用しています。

 

パキロビッドの処方が難しい方にはラゲブリオを処方しています。

 

ゾコーバは処方していませんでしたが、患者様の希望があれば、37%の入院減少が明らかにされたこともあり、ゾコーバの処方も行いたいと考えています。






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